城跡散策は、ひとりでじっくり歴史に浸るのが一番合っています。遊歩道はコンパクトな丘なので地図なしでも迷いません。訪れる人が少なく、静かな城跡をひとりで歩きながら武田氏の歴史に思いを巡らせる時間は格別。御城印を手に入れてコレクションする達成感も、おひとりさまならではの楽しみ方です。
天守閣も石垣もない。なのに、続日本100名城に選ばれている。
新府城跡の不思議な魅力は、まさにそこにあります。山梨県韮崎市にある新府城跡は、見た目には静かな森の丘。でも、その奥に、日本史のターニングポイントとなった「幻の城」の物語が刻まれています。
入城68日で燃えた、武田勝頼「最後の城」
新府城は、武田信玄の息子・武田勝頼が1581年に築きました。石垣をほとんど用いない「土の城」は、武田氏特有の技術を駆使した堅牢な構造でした。
しかし翌1582年、織田信長の軍勢が押し寄せると、勝頼は入城からわずか68日で城に火を放ち、退去を余儀なくされます。その後、天目山で自害。武田家は滅亡し、新府城はほぼ完成直後に炎の中へ消えました。

※画像はイメージです
「幻の城」と呼ばれるのは、それゆえです。いまひっそりと静かな森に包まれているこの場所が、武田氏終焉というドラマの最後の舞台だったとは——訪れるまで想像しにくいかもしれません。
なぜ続日本100名城に選ばれたのか
新府城は続日本100名城に選ばれた城のひとつです。天守閣や石垣がなくても、武田氏に特有の土塁などの遺構がしっかり残り、武田氏最後の居城という歴史的意義から、専門家や城好きが注目する「通好み」の城として高く評価されています。

新府城跡から見る八ヶ岳
大規模な観光地化が進む城も多いなか、新府城には売店も土産屋もありません。時間や人混みに追われず、静かな城跡を歩きながら、武田氏の終焉に思いを馳せる時間が待っています。
散策ルートは2パターン
新府城の歩き方はざっくり2つに分かれます。
① 遊歩道コース(ゆっくり30〜40分)
鬱蒼とした森から差し込む木漏れ日を浴びながら、ハイキング気分で歩道沿いの遺構をひとつひとつ見て回るルートです。全体が小さな丘なので迷う心配はなく、自然を楽しみながら歩いていると、いつの間にか本丸に到着します。

※舗装されていない自然道のため、歩きやすい靴がおすすめです。
② 石段コース(直登・短時間)
藤武神社の参道である約250段の石段を登る直登ルートです。「お新府さん」とも呼ばれる藤武神社は、勝頼が新府城築城の際に鎮守として祀ったとされています。緑に囲まれた赤い鳥居をくぐり、古い石段を一段ずつ登っていくと、気持ちがすっと清浄になっていくのを感じます。

体力に自信のない方は、遊歩道コースのほうが無理なく楽しめます。
春の新府城|桃源郷と桜が同時に咲く絶景

4月上旬〜中旬、新府城のエリアは「新府桃源郷」と呼ばれる約60ヘクタールの桃畑に囲まれます。本丸周辺には桜が咲き乱れ、南アルプスをバックに満開の桃畑と桜が同時に楽しめるという、山梨でもここだけの景色が広がります。

歴史の舞台に立ちながら、眼前に広がる桃源郷の景色——この組み合わせは、山梨でもここだけの体験です。
御城印・続100名城スタンプの入手方法
新府城の御城印と城スタンプは城跡にはありません。 城跡から車で約5分の韮崎市民俗資料館で入手できます。御城印は300円、スタンプは開館時間内ならいつでも押印可能です(入口に押印済み用紙が設置されているため、閉館後も入手できます)。入館無料なので、城跡散策のあとに気軽に立ち寄れます。
※掲載の料金は取材時のものです。御城印の最新情報は韮崎市民俗資料館にご確認ください。
アクセス Access
【電車】 JR中央本線「新府駅」から徒歩約20分。(本数少ないため時刻確認を) 【車】 中央自動車道「韮崎IC」から約10分。無料駐車場あり。 ※駐車場から城跡まで徒歩2〜3分。交通量のある車道を横断するため注意が必要。 【御城印・スタンプ】 新府城跡から車で約5分の「韮崎市民俗資料館」で入手可能。入館無料。